GREEが非常に難しい決断「ネイティブではなくブラウザに注力」正解か否か
グリーの決算発表。前四半期比減収減益と厳しい数字になりました。グリマスと、ワンピースがあったので「今クォーターは盛り返すんじゃないか」と、思っていたのですが、それを上回る下げ基調だったのですね・・・。
売上はともかく、営業利益がかなり下がっているところが気になります。
大量に人員を増やし、人件費が四半期63億円と結構な数字なので、売上利益が減ってくると急に苦しくなる可能性があります。既に一杯稼いでキャッシュはかなりあるので、しばらくは大丈夫ですけどね。
数字ももちろんなのですが、気になったのはCNETに載っていたインタビュー。一部抜粋ですが、
「スマートフォンのネイティブアプリについては開発タイトルを絞り、ブラウザに注力する」
説明会の質疑応答では、ガンホーの「パズル&ドラゴンズ」のような、リッチな表現が可能なネイティブアプリへの対応についての質問がなされたが、田中氏はこれに対して「ネイティブアプリでないとできないジャンルは広がっていくと認識している。対応は進めたいが、ネイティブアプリが伸びているのは全体が伸びているということ。ほか(ブラウザゲーム)が食われている訳ではないと考えている」(田中氏)とした。
さらに、ネイティブアプリの隆盛によって、グリーというプラットフォームから離れるユーザーが増加するのではないかという問いに対しては「PCにおいても、ブラウザとアプリのマーケットは両方とも継続している。ネイティブアプリの分野でも競争は激しくなっており、ブラウザより簡単な市場ではないと考えている」(田中氏)と回答した。
と、ブラウザ注力の姿勢をハッキリと表明しています。ここ非常に難しい。
自分がGREEの田中さんだったらどうするのか・・・・。ブラウザでプラットフォームとして大成功を収めたGREE。ところが、スマートフォンの普及で状況は一変。一変といってもしばらくは大丈夫だったのですが、パズドラやLINEの登場でネイティブアプリが一気に普及してしまいました。
カードバトルならブラウザで十分対応可能ですが、パズドラのパズルのような、操作性が高い物は「現在の技術」ではネイティブに負けてしまいます。
各社がネイティブに一気に舵を切り、株価も大高騰。ネイティブに行きたくなるのが普通です。ただ、GREEはプラットフォームです。
プラットフォームの意味を考えると、
- 集客力がある
- 何等かのグラフを持っている(ID等、人と人との繋がりのデータ)
程度でしょうか。
SAP(ソーシャルアプリプロバイダー)はある程度の集客を保障されていたため、GREEにゲームを提供してきました。自力で0から集客すると、かなりの費用がかかるからです。
ただ、GREEはネイティブのユーザーをそれ程抱えておらず、SAPに対してあまりユーザーを流し込むことができません。それにも加え、プラットフォームonプラットフォーム(Appleの上にGREEが乗るので、二重プラットフォーム)となってしまい、利益率が下がってしまいます。
SAPからするとネイティブに関してはGREEに出す意味があまりないのです。今思うと、GREEのIDにもっと価値を持たせていたら・・・と思います。ゲームを大量に連発リリースした関係でGREEユーザー同士のしがらみ(友情関係)が無く、価値が低下してしまった気がします。
もし、バーチャルグラフのGREE IDに価値があれば、SAPもGREEを通してネイティブアプリを提供したでしょう。価値のあるIDというのは、バーチャルなゲーム好きの知り合いであるAさんとBさんが、一緒にゲームを移動(違うゲームに乗り換える)したり、オススメしあったりする感じです。AさんがBさんと同じゲームをやりたいという、リアルグラフのような関係。
今はそれぞれのタイトル内で知り合ったユーザーとしか、絡みがなく、GREEのSNSとしての価値は低下してしまった気がします。ネイティブ上でプラットフォームを作ることに成功したLINEはリアルグラフなため、強固なバーチャルグラフをGREEが持っていたら戦えた気がします。
ということでGREEに残された手段は
- ブラウザでPFとして頑張る
- ネイティブではPFを諦めSAPとして内製(もしくは準内製)タイトルのみをリリース
ということになります。ネイティブではプラットフォームになれないのです。
ブラウザに集中するのか…。ネイティブでは全員ただのアプリプロバイダー扱いされるからやむ得ないかも。RT 「選択と集中」で成長目指す–決算説明会でグリー田中氏 japan.cnet.com/news/business/…
— Katsuaki Sato (佐藤航陽)さん (@metaps_sato) 2013年5月14日
プラットフォームで頑張るか、SAPにシフトするか。非常に難しい判断です。田中さんはプラットフォームとして頑張る決断をしたのでしょう。
で、GREEの将来ですが、HTML5の技術向上にかかっているかと思います。facebookのザッカーバーグはHTML5に期待をして注力していましたが、「今は無理だ」と、ネイティブにシフトしました。
ザッカーバーグ氏の「HTML5に賭けたのは失敗」発言には続きがある。長期的にはHTML5への期待も語る
ただ、あと2~3年すればネイティブに追いつくような気がします。そこまでGREEが粘れるかどうかが勝負でしょう。
LINEの件もそうですが、AppleやAndoroidも優しいプラットフォームとは言えない無いため、HTML5が現在のネイティブと同じくらいの感度になり、GREEに価値が戻れば、SAPも戻ってくる可能性は多いにあります。
ところで、「ブラウザに注力」と言いつつネイティブの方が本数が多いの何故?笑
まぁいいか(笑)いやー、WEB業界は舵取りが本当に難しい。経営者やったらハゲるな。
人気記事
- None Found
経済ログ最新記事
Warning: array_slice() expects parameter 1 to be array, null given in /home/users/2/lolipop.jp-964f40ad7b48918/web/wp-content/themes/twentyeleven/content-single.php on line 175
- No items