2013
04/17

クラウドファンディングをビジネスとして日本で成功させる方法を考えてみる

以前からちょいちょい記事も書いているクラウドファンディング。良い仕組みだと思うからやっぱり気になります。

でもビジネスロジック的には非常に厳しい。「僕が立ち上げるとしたらどうするか」を考えてみる。

今回AQUSH等の投資型は免許が必要でそもそも参入が難しそうなので、キャンプファイヤーキックスターターのような購入型モデルで考える。

ビジネスとして何が問題なのか

クラウドファンディングがビジネスとして厳しいと思っている理由は、1プロジェクトごとの規模(集める金額)が小さいことにある。キャンプファイヤーのトップページを見ても、数十万円のプロジェクトが多い。

手数料として2割とっており、決済手数料等を除いた会社の取り分はおおよそ15%。100万円集めたとしても15万円しか入ってこないことになる。

審査に時間がかかる

15%の手数料自体は購入型なので小売業という捉え方をすると、異常に低いわけでもないかもしれない。

ただ、クラウドファンディングは1案件(プロジェクト)ごとが、完全オリジナルであり、詐欺に使われないように審査をしないといけないのと、「サクセスさせないといけない」ことから、1案件ごとに「手間」がかかることになる。

100万円のプロジェクトで15万円の利益だとしたら、1人月100万と考えると、3日でこなさないといけない。

上記は100万で計算したが、実際20万程度のプロジェクトも多く、半日でこなさないと赤字案件になってしまう。

これ以上の手数料を取るのはきっと無理

キャンプファイヤーは海外のキックスターターに比べて手数料を多くとっている。とはいえ、厳しい。しかし厳しいからといって手数料の幅を上げてしまうと、批判もあるだろうし、プラットフォームを使うメリットが下がってしまう。自分で集めた方が良いと。

じゃあどうすれば良いのか・・・。

プラットフォームの存在意義は集客力

プラットフォームにプロジェクトを出すメリットは集客力とシステム(システムを利用できるという意味)だ。購入型モデル(リターンを返すモデル)は法律を潜り抜けているモデルなので、プラットフォームを利用しないで、自分(単独)でもやろうと思えばできる。

じゃあ「何故キャンプファイヤーに出すのか」となったら、1番大きいのは集客力。なので、プラットフォームを運営するのであれば、固定ユーザー(支援ユーザー)を囲い込まないといけない。

アメリカと違って日本は寄付文化がそんなに根付いていないため、ぶっちゃけ「支援ユーザー」を集めるのは難しいと僕は思っている。

じゃあどうすれば良いかというと、「コマースサイト」を運営するように路線を変更する。

例えばガジェット系。キックスターターの中でもガジェット系は人気で、何億円も集めたプロジェクトがある。「未発表のおもしろいガジェットが発売されているコマースサイト」といえば、クラウドファンディングサイトよりもユーザーを集めやすい。

なので、1個、もしくは数種類にセグメントを切って、「未発表商品が買えるコマースサイト」の見せ方をするのは有効な方法だと思う。

大きいプロジェクトを集めないといけない

既に手数料のお話はしたが、ビジネス的に成り立たせるためには大きいプロジェクトが必要だ。例えば1億円集められるようなプロジェクト。1億円集めることができれば1,500万円入ってくる。

それはどんなプロジェクトなのか・・・
キックスターターを参考にすると

  • ガジェット
  • ゲーム
  • 音楽

等のジャンルがビックプロジェクトになりやすい。

ただ、素人が作ったものが1億円も集められるかといえば、正直なかなか難しい。ガジェットやゲームは可能性が無くもないが、音楽が分かり易く、有名アーティストが独立して資金調達をしたいといえばお金は集まるが、素人アーティストが1億円を集められるのは無理だ。

で、何が言いたいかといえば「大手企業と組めば良いよ」ってこと。

ガジェットでいえばシャープやソニー。音楽でいえばavexやユニバーサル、ハロプロ、AKB。ゲームでいうとスクエニやバンナム等。

ガジェット

新商品の開発は日々行っているだろうし、クオリティも高い。売れるかどうか心配な面も、先行予約的な面で多少緩和される。

新商品以外でも復刻商品をプロジェクトにすることも可能で、使い方は色々ある。

音楽

ここはコアユーザーをターゲットとした、リターンによる売上拡大を狙う。狙いはLIVE。コンサートの座席チケットを値段別にして、いろいろな特典にランクをつけてそれぞれのリターンとして販売する。

このアーティストじゃ日本武道館埋まるか分からない・・・といった際も、クラウドファンディングは有効活用できる。購入側としては「日本武道館でライブやらせてあげたい」という気持ちになる。

応援と空席リスク軽減(赤字)を回避するという意味でも相性が良い。

ゲーム

パッケージゲームは売れる本数が分からないため、かけて良い制作費を判断するのが難しい。

しかし、シリーズ続編等はコアなファンが「この金額までなら出しても良いから作って欲しい」という声を上げる可能性が高い。

と、いうことで大手と組むメリットは結構ある。

大手からしたらプロモーション費用と、リサーチ費用と捉えれば、15~20%程度の手数料は払う価値もあるかも知れない。

ベースのプロモーション

僕らWEB業界の人はクラウドファンディング、クラウドファンディングって言ってるけど、一般の人は正直知らない。

とはいえ、やっぱりITリテラシーの高い人から広めていくしかない。

広めるためにはIT系著名人をベースにプロジェクトを出品して貰って、拡散させて貰う。そこから徐々に一般層への拡大のため大企業プロジェクトや有名アーティストプロジェクトにシフトさせていく。

ニッチなコマースサイトから、一般的な事前予約型コマースサイトにシフトさせる。

ランニングコスト

なんとか月間1億のプロジェクトを毎月1本作って、1,500万程度の収入。利益を出さないといけないので社員8人とアルバイト2人くらいの人員構成が妥当だろうか。

おそらく「営業」がカギになる。更に、もともと著名人出品を行うにあたってプロモーション費用が必要になり、1~2年目は赤字になるだろう。

僕はこのビジネスはやらない

とまぁ、考えてみたんだけど、収益化するには大手向けのビジネスになってしまい、本当にお金が無い中小企業や個人の力になることができなくなってしまう。

そうすると、1番やりたいこととは違う感じになってしまい、残念な気がする。(もちろんプラットフォーム知名度が凄いことになれば、中小企業プロジェクトもスパークする可能性はある)

また、大企業向けと捉えるとこのプラットフォームはおのずと「プロモーションサイト」に近いものになる。なんとなく「グルーポン」とかに似ている。

そうすると1媒体にしかすぎず、広告を載せて貰うために企業へ営業を行うことになる。

クラウドファンディングは素晴らしい仕組みだし、なんとか頑張って欲しいと思っているんだけど、夢(理想)と収益を両立させるのは結構難しい。

大企業を囲いつつ、出た利益で中小プロジェクトを赤字でも運営する。「1個でも大ヒットが出ればまぁ良いか」みたいなIPO狙いの投資的な感じになるかもしれない。

そんな感じです。

ソーシャルレンディングの方は詳しくないんだけど、どんな感じなのだろう。

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