2012
08/08

クラウドファンディング プラットフォームの乱立は全滅の恐れ

相変わらず、話題に事欠かないクラウドファンディング。注目すべき動きがあったのでご紹介。

株式会社サイブリッジ「クラウドファインディングサービス構築パッケージシステムの提供を開始」
株式会社ワンモア「クラウドファンディングASPシステム提供&コンサル」サービスを開始

上記2社がBtoBのパッケージサービスを展開し始めた。

インターネット系のサービスは、ある程度市場が大きくなるか、注目されるかすると、パッケージが出てくる。そのため、クラウドファンディングのパッケージ展開も自然な流れと言える。ワンモアに関しては『NYLON Japan』『タイムアウト東京』などが導入を決めているとのことで、楽しみだなとも思う。

一方でこの流れは「ヤバい」んじゃないかと思っている。国内クラウドファンディング全滅の可能性である。

ハイパーインターネッツが増資を発表 日本でクラウドファンディングは成り立つのか

以前、上記の記事で、(おそらく)全サイト赤字という国内クラウドファンディング市場の厳しい状況をお伝えした。

そもそも、クラウドファンディングのような寄付型の仕組みは、世界的に見ると古くから存在した。そんな中、kickstarter(現在、世界No.1クラウドファンディングプラットフォーム)が取扱額年間約100億円と爆発的に伸びた理由は

  • 純粋な寄付ではなく購入型(リターン型)に変えた
  • 1つの寄付案件といった見せ方ではなく、ショッピングサイトのように選べるようにした 
  • オールオアナッシング型にしてゲーム性を持たせた

の3つが大きい。

その中の「選べる」というのは、市場を大きくさせるため(当然売上を上げるためにも)には非常に大事で、プラットフォーム側にとっても、ユーザー側(支援者側)にとっても規模が必要なのである。100億円の調達額を誇るkickstarterですら黒字化に苦戦している段階で、年間数百~数千万規模の国内プラットフォームが、案件を分散させている場合ではない。

競争激化は悪いことではないし、パッケージを提供するサイブリッジやワンモアのBtoC戦略はビジネスとしては上手いなと思う。(特にワンモアは単独プラットフォームでは成り立たないため、BtoCからBtoBへの切り替えは評価する)

競争激化で、1社、もしくは2社が思い切った戦略(プロモーションや大企業とのタイアップ)を取り、一気に市場が拡大すれば良いなと思う一方、中規模の会社が乱立し、どこも黒字化せず、国内クラウドファンディングがこのままフェードアウトしてしまうことを、とても危惧している。

実際、今のビジネスモデルでの大規模プロモーションは非常に難しく(費用対効果的に)、地道に大型案件を獲得していくのがベストな施策だと考える。そう考えると今回でいう『NYLON Japan』『タイムアウト東京』案件が、「CAMP FIRE」や「READYFOR?」(国内2強プラットフォーム)に掲載されるのではなく、独自展開になってしまったことは残念だなと思う。

もちろんパッケージリリースが悪いわけでなく、『NYLON Japan』『タイムアウト東京』側が「CAMP FIRE」や「READYFOR?」に掲載するメリットを感じない(もしくは知らなかった)責任は両プラットフォームにある。プラットフォーム側は「うちのプラットフォームに載せれば成立するし、プロモーションにもなる」といったメリットを、起案者側に出せなければ価値はない。

全く楽ではないクラウドファンディング事業。今後の動きにも注目です。

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