学費支援プラットフォーム「studygift」炎上のこれまで。見えてきた問題点と改善点について。
賛否両論巻き起こしつつ、どちらかというと炎上してしまっている、学生支援プラットフォーム「studygift」のこれまでについてまとめてみたい。
studygiftとは「学費が払えず学業を諦めてしまう学生向けクラウドファンディング」である。
※クラウドファンディングとは、ある「志」を持った人や団体に対する資金を、ネットを通じて多数の支援者から収集し実現する手法。
まずこの炎上問題で肝になってくるstudygiftの「コンセプト」、サービスを立ち上げた経緯をご紹介したい。
「朝から晩までバイトして、なんとか学費と親への仕送りを稼いでます。それは大丈夫なんです。ただ、本が買いたいんです。」
学費に困ってる国内の学生を助けるクラウドファンディングが出来ないか話し合ってた。
学費に困ってる学生がこんなにいるとは知らなかった。奨学金も単なるローンだしな。海外に寄付とかする前に、未来をつくる若い子たちを支えるべきだよな。なんて柄にも無く思った。
僕のフォロワーに学生さんたくさんいるよね。学費困ってる人ってどのくらいいるのかな。困ってる金額も知りたい。僕も芸大予備校に新聞奨学生制度で通ってたから気持ちは解ると思うんだよな。住み込みで新聞配達しながら学校行ってた。
足らない学費って年間100万くらいなのかな。それくらいだったらソーシャルでカンパ&企業からの支援でなんとかなるよな。CSRとか人材確保の面で企業側にもメリット提示出来るし。なんかやるかな。
学生を甘やかすな、社会経験だ、みたいな意見もっと来ると思ったけど以外に無い。確かに辛い時期は後々良い経験になるけど、スマートに抜け出せる方法が別にあるのならそれを活用しない手は無いよね。僕はただ選択肢を用意してあげたいだけなんだよ。こういうやり方もあるよ、って。
という訳でまずやってみます。お金に困ってる、ある大学生のひとりを助けるところから。ひとりを救えずにプラットフォームは作れない。5月までには公開出来るんじゃないかな。
(引用:IEiRINET学費マイクロパトロン)
変に一部分を切り出して誤解を与えてしまってはマズいので、あえて全文引用させて頂いた。「学費に困っている学生を、なんとかして支援したい」それがこのサービスのコンセプトである。
運営者はロリポップで有名な株式会社paperboy&co.創業者の家入さん率いる、livertyというチーム。studygiftは5/17の20時頃にサービスを開始したばかりである。
出ましたぁぁぁぁぁぁ!!!! studygift | 学費が払えない学生の為の学費支援プラットフォーム #studygift #liverty studygift.net
— 家入一真(Kazuma Ieiri)さん (@hbkr) 5月 17, 2012
コンセプトだけ見ると誰もが認める素晴らしい仕組みに見える。実際、リリース前からtwitter等で「楽しみ」「期待」という声が多く聞こえてきた。では、何故炎上してしまったのか。
google+で有名な坂口さんが最初の人なんや! / studygift | 学費が払えない学生の為の学費支援プラットフォーム #studygift #liverty studygift.net
— 古賀翔也さん (@k4408) 5月 17, 2012
第1弾ということもあり、プロモーション効果も含めて、多少知名度のある人を最初に持ってきたかったのだと思う。支援を求める学生にgoogle+でフォロワー数1位(google+でAKBとのコラボが始まる前まで)だった坂口綾優(さかぐちあや)さんを持ってきた。
(google+で1位の記事についてはコチラを参照)
ここから雲行きが怪しくなる。
本当に困っている人には素敵なシステムだなーと思う…が、なんか色々思うところはある… > studygift | 学費が払えない学生の為の学費支援プラットフォーム #studygift #liverty studygift.net
— クサさん (@kusa0228) 5月 17, 2012
気持ちはわかるけど、一概にいいものとは言えないかなぁどのくらい成績維持の努力をしてたんだろうかって思うし#studygift
— tanaka tsutayaさん (@ta2yeah) 5月 17, 2012
本当に大学で学ぶ為に貰うのが奨学金じゃないのか。民間の奨学金システムを充実させる、という趣旨は賛同するがパンダがキャスティングミスじゃない?何の為に現存の奨学金審査が厳重だと思ってるんだろう。 #studygift #liverty studygift.net
— Yui OKADA (SUZUKI)さん (@suiius) 5月 17, 2012
「ん?」というような「もやっ」とした意見が多くなってくる。いったいどうゆうことなのか。それは坂口さんの支援を求める背景にある。studygiftトップページに記載されいてる文言をそのまま書き起こしてみる。
studygiftから、優秀な学生に支援の手を。by Liverty
studygift(スタディギフト)は、全く新しい学費支援サービスです。
坂口綾優と申します。今まで、2つの奨学金とアルバイトで大学に通っていました。
2年生の秋、夕日の写真をInstagramやGoogle+にアップしていたら、日本で一番のフォロワー数になりました。
しかし、学校の成績が落ちたことで、奨学金の停止が決定。このままでは学費が払えず、退学するしかない状況となっています。
studygiftを使って支援して頂き、学校を続ける事が出来れば・・・そう思って私はこの場にいます。
みんなが突っ込んでいるのは「学校の成績が落ちたから奨学金を止められた」の部分。本当に学びたいのかという、「studygift」の「study」の部分。ここがきっかけで炎上。2ちゃんねるを中心として、一気に批判が集中する。批判内容は直接下記の記事を見て頂いた方が早いと思う。
・ハムスター速報:Google+日本一の早稲田大学 坂口綾優さんが旅行で遊び果てたあげくに成績不良で奨学金打ち切られネットで公開乞食をして炎上
・VIPPER速報:この女完全に人生舐めてる…Google+日本一ってwwwwww
坂口さんの批判を中心に、炎上はしたが、的確な意見も多く、いくつか紹介したい。
studygiftについて。
まず第一に、支援呼びかけの軸が、
奨学金モデルなのか、日本の就活モデルなのか不明。
サイトを読むと、
studygiftから、優秀な学生に支援の手を
とあるが、ここで言う優秀な学生とはどんな学生だろうか。
パイロットケースの坂口さんが、studygift上での「優秀な学生」ならば、
坂口さんが成績を落として奨学金を停止された以上、
学業・研究面での優秀な学生である必要はなさそうだ。
つまり、学業・研究ベースで評価する奨学金モデルは取っていないと考えられる。
Ⅵ. 坂口さんおよびLiverty家入さんへ提案
最後に。これを読んでいただけるかどうかは分かりませんが…
僭越ながら、坂口さん及び家入さんへ提案を。。
繰り返しますが、こういったサービスが新しく生まれたこと自体は、
僕は支持しています。
学費で困る学生が、一人でも救済されれば幸いです。
しかし、それは妥当な理由と方法においてであるべきです。
>坂口さんへ
初めまして。
サービスリリース直後の勢いから見ると、
目標金額は達成出来そうですね。でも、それが本当に幸せなことかどうか、
お金の代わりに、何か大切なことを失いやしないか、
一度立ち止まって、考えてみていただければ幸いです。僕も学費に悩んで、近しい人に迷惑をかけてしまった経験があるから、
他人ごととは思えません。
今回の活動によってお金より重い、信頼を失うことにならないか、と心配です。また、進路についても、今一度、考えてみることをお勧めします。
本当に、あなたの今後のキャリア・人生に学位は必要ですか。
必要だとして、こうまでして固執するほどのものでしょうか。就活のために学生である必要があるというのなら、そんなことは無いと思います。
Google+で日本一になり、今回のような企画を始めるだけの行動力があれば、
学位が無くても就職出来る口は見つかるのではないでしょうか。
(日本の就活が大変なことは存じていますので、軽々しくは言えませんが…)
本格的に写真家を目指すならなおのこと、大学に通うより、
プロの方に丁稚奉公して、働いてお金を稼ぎながら写真を学ぶ方が近道かもしれません。そうではなくて、勉強がしたいのだ、だから大学に戻りたいのだというのなら、
やはりこんな状況になるまでに成績を落としてしまったことの、
正当な理由が必要になるかと思います。
(たとえば体調を大きく崩したとか)そういった、学費を集めようとする根源の「動機」が
伝わって来れば、僕も寄付をしたと思います。偉そうにすみません。しかし、やはりお金は怖いものです。
どうぞ色々と、再検討してくださることを願います。
>家入さんへ
初めまして
いつも斬新な企画・取り組みを遠くから拝見しております。その斬新さ、自由奔放さが存分に活かされた企画も多々あったことと思います。
しかし、こと今回のような、学業・学費に関わるサービスに関しては、
「とにかくまずやってみよう」という姿勢だけでは済まないのではないかと思います。繰り返しますが、本サービス自体の可能性は僕も支持しています。
ただ、お金を扱うサービスとして、現状あまりにも粗い。
早急なアップデートを期待します。
具体的には
・studygiftが支援しようと思う学生像の明確化
(学業・研究を頑張りたいが学費に困っている学生なのか、
就活のために学生の肩書きが必要で学費に困っている学生なのか)
・支援する学生像の「その先」をユーザーが期待出来るような
インターフェースやフォーマットの整備
(研究計画ないし活動計画の提示を学生に条件づける、
応募企画内容に応じて、自己負担金の額を柔軟に変動させるなど)
を提案いたします。サービスリリース間もなく、坂口さんはネットの各方面で
賛否両論の意見を浴びているようです。
学生を応援する、とおっしゃいますが、
年若い、社会に出る前の学生が、叩かれること覚悟で
表に出て学費支援を要求するというのは、
相応の覚悟と勇気が要る行為です。今回の件で、学費と引換に、坂口さんが何かかけがえのないものを失ったり、
大きく傷ついたりしてしまう可能性もゼロではありません。全ては結果論、まずやってみなければ分からない、ということには同意します。
しかしそうであっても、最低限、応援する学生を自分たちが守る、という
姿勢と施策だけは、見せていただきたいと思います。
それこそが、社会人の役目です。
どうかお二人に伝わりますように。
(引用:I’m looking for a new way to fly…)
かなり長文だったため、ポイントのみ切り出させて頂いたが、本当に論理的で、思いやりのある文章、改善案なため、お時間がある方は是非全文読んで頂きたい。
もう1つだけ評価記事を紹介。
確かに、坂口さんの生活スタイルで奨学金切られたのは自業自得感が溢れかえっていて、どの口が学費くださいと言っているのか100回でも1000回でも問い直したいプロフィールですが、逆にその状況からでもこのスタイルで「お金ください」は相当な覚悟がいると思います。その覚悟がわかりもしないし賛同もできないというのであれば、自分がお金を払わなければいいだけで、払われているお金に対して、他に支援されるべき人がいる、などの批判をぶつけるのはただの僻じゃないのかと思ったりもします。
このプロジェクトの話が出た時に、批判を受けることは絶対に想定されているはずです。されていないわけがない。されてなかったらそのチームは想像力のかけらもないただのウンコチーム。そこも含めて、「自分よりもっと支援されるべき人」のために広告塔をやった勇気は賞賛に値すると思うし、それだったら学費もらうくらいは良いんじゃないかとも思います。
なにがまずかったのか
有名人っぽい感じの人を第一号にしてしまった点。世間に対して、「その知名度があれば自分で稼げるやん?」と思わせてしまったところ。
坂口さんの大学生活がハジマリすぎてて自業自得感溢れでてたところ。
綺麗にサイト作りすぎたこと。どう考えても余裕感が出てる。掲載されている写真から「同情」を誘う感が出てない。(日本の文化的に考えると、ここは同情誘っとくのが正解だったと思う、個人的に。)
(引用:学生のうちにしかできないからと思う存分やりたいことをやった挙句、成績が落ちて留年し奨学金の受領期間が終わり、学費が払えず退学した僕がstudygiftに思うこと)
人によっては辛口に見えるかもしれないですが、僕も同意見です。サービスの仕組みについて、ご自身の経験も含め的確な突っ込みをしていると思います。こちらも全文紹介したいところですが、長文だったので切り出しさせて頂きました。お時間ある方は是非、全文読まれることをオススメします。
期待していたサービスなだけに、炎上してしまったことは残念ですが、最初から完璧なサービスなんてないですし、ここから改善していき、皆に指示され、多くの人が幸せになれる仕組みを作っていけば良いのではないでしょうか。実際運営チームは批判を重々に受け止め、下記の通り改善していく意思を見せています。
#studygift の反応、賛否両論たくさんいただいています。ツイッターでなかなか感情的な事を書かない僕ですが、いろいろとみなさんのご意見も伺いたいと思うので、ぜひfacebookの方に書き込みを頂ければと思います。全部読みます! j.mp/JAPIkI
— ヨシナガ(僕秩)さん (@dfnt) 5月 18, 2012
プラットフォームとしてのstudygiftと、支援対象学生の坂口さんの立ち位置が不明瞭なのが良く無かった。修正して、明確にします。全ての責任はstudygift側にあるので、坂口さんへの個人攻撃はやめて欲しい。 #studygift
— 家入一真(Kazuma Ieiri)さん (@hbkr) 5月 18, 2012
昨日リリースした #studygift が様々な議論を生み出していますが、開発に関わった者として、何かご意見や改善点があれば素直にお聞きしたいです。改善出来る部分に関しては早急に対応もします。サービスに関する責任は全てこちらにありますので、個人へ向けた避難だけは辞めて下さい。
— 板橋聡 @MONOspaceさん (@Satoru_ItabashI) 5月 18, 2012
素敵なチームじゃないですか。炎上マーケティングとか書いてる人もいるけど、彼らはそんなこと望んでないと思う。想定が甘く、仕組み(というか組み合わせ?)に問題があったのは認めざる負えないですが、「世の中をちょっとでも良くしたい」という志を持って、無報酬で徹夜までしてサービス立ち上げてるんですよ?誰だって失敗することなんてある。僕みたいなペーペーが上から目線で言えるセリフじゃないですが、僕は彼らの今後に期待したいと思います。
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