2012
12/28

競合ソーシャルゲームの分析は簡単じゃない

ソーシャルゲーム業界で働いているからには、様々なソーシャルゲーム(この記事のソシャゲはパズドラ等のソーシャル性薄いゲーム含む)をプレイする必要がある。ただ、これは簡単なことではない。

一見、同じように見えるカードバトルですら、細かいところに各社工夫を凝らしており、その意図や効果に気付くにはそれなりに時間がかかる。

感覚的には1つのゲームにつき少なくとも、10分プレイを1日3回。それを2~3週間は継続してやらないと、理解するのは難しい。チュートリアルを突破して、15分くらいプレイし、そのゲームの分析を終えられるかといったら、そんなことは無い。ある程度熱中することも必要で、並行して遊べるゲームはせいぜい2~3本だと思う。

でも、毎月何十本もゲームはリリースされるし、やりたいゲームは本当にたくさんある。でも時間がなくてプレイできない。そんな業界人は多いのでしょう。

新規ゲームを企画したり、新規イベントを企画するにあたって、他社ゲームは非常に参考になります。プレイしていればしている程良い。偶然のヒットなんかほとんどなくて、何か秘密が隠されている。そこで最近、「社内共有が非常に大事になってきたな」と実感する。

自分は2本のゲームを1ヶ月間プレイしたとする。そうしたら、そのゲームの基本的な仕組み、施策、それがどういった効果をもたらすか、どの部分が優れているかが理解できる。

例えば、

のような分析。

これを社内で共有すれば良い。そうすると、プレイした気持ちになって「いかにそのゲームが優れているか」「他社がどういった施策を展開しているのか」ということが分かる。1人月2本だから、5人いれば、10本プレイしたことになる。実際、資料に落とし込むのか、口頭にするのか、ホワイトボードに書くのか、1行に書くのが良いのか、諸々手法は悩ましいが、間違いなく有効な手法だ。

僕が、新規タイトルを企画している際、社内のメンバーが「GREEのエンペラーズサガがおもしろい」と意見を出してくれた。僕はエンペラーズサガの絵のテイストが好きではなく、リリース当時プレイしたがすぐに離脱し、「なんでランキング上位なんだろう・・」と思っていた。だが、そのメンバーが「陣形というシステムがどうのこうの・・・・」、「自動合成というシステムがどうのこうの・・・」「絵柄は変わらないけど進化合成に上限がなくてどうのこうの・・」と非常に分かり易く説明してくれて、「おぉ!それは凄い。やっぱりIP物だから売れてるって訳じゃなく、仕組みとして作り込んであるんだな」と、さも自分がプレイしたように感じられた。

なので、ソーシャルゲームプロバイダーの方には、プレイしたゲームについて「社内で熱く発表する場」を設けることを強くオススメする

もう1点は「同じゲームをみんなでやってみる」といった仕組みだ。ゲームの感想は人それぞれだし、同じ施策でも色々な見方がある。

僕の書いたドラコイのレビュー記事に関しても

 

と、同意する方もいれば、下記のように

 

違う意見の方もいる。違う意見もおもしろくて、ディスカッションすれば良い。 僕の意見だと「2」のテンポは「ゲームの進捗云々」や「操作反応」のテンポではなく、コインを落とす側のタイミングのテンポ。かならずプッシャーの動きに合わせないといけない。 例えば下記の方が言っているようなテンポだ。

 

ドラコイも、こちらが何もしない限り何も起こらないことは間違いないのだが、「動き出すタイミング」は狙わないといけない。センターのプッシャーが開いた時にコインを2個落としたいと思っても、1度開いた瞬間には1枚しか落とせず、もう1回狙いたい時は次にプッシャーが開くのをまた「待つ」必要がある。この0.5秒的な数値ですら「待つ」と感じてしまっているということだ。

もちろん人によっては「気にならない」という意見もあって良く、それは貴重な意見だ。

「3」のパズドラの技術差だが、ここも人によって意見が分かれる。

僕は上記のように「くるくる」回すことによって、かなりの攻撃具合に変化が出ると考えている。

解析してコンボを狙うソフトがあるくらいなので、それくらい差がでる。この「技術で差が出ているような出ないような」といった形に見せている(簡単に見えて技術でも差が出る)のがパズドラの上手いところだ。

「練習しないといけない」と思わせると「めんどくさい」と思って離脱する人もいるし、技術差が出ないのであれば「パズル」は不要で、これまでのカードバトルと同じようにクエストボタン連打で済むことになる。「パズル」や「コイン落とし」に組み替えている理由はそこにある・・・・と僕は考える。

「4」の「無課金でプレイできるか」については、プレイスタイルにもよる。1回もゲームオーバーにならずにクリアできるということはなく、古いダンジョンで何回もレベル上げしているかもしれないし、虹色コイン(パズドラだと魔法石)を貰うために毎日ログインしたり、SNS連携したりしているかもしれない。「初級ダンジョンだけで楽しんでいる」かも知れないし「無課金でも上級ダンジョンクリアしたい」と思っているかもしれない。

 

ただ、僕と同じように思っている人は間違いなくいる。あらゆるプレイスタイルを想定して、適正なゲームバランスに設定する必要があるということだ。(全員が満足する設定は当然無理で、どこかで切り捨てる必要はある)

「5」の「進化素材を餌にする」については2匹目を配れば良いということではなく、

上記の通り、ベースモンスターに対して色々な進化素材モンスターが必要にしているところに意味がある。進化早見表ができてしまうくらい、進化素材が豊富で、ある程度進化素材は共通化もされている。そのため、進化素材を集めにいく旅が始まるのだ。

 

ドラコイもドラゴンモンスターだけ、同じカード合成じゃない仕様になっている。

チームで「パズドラ式のメリットデメリット、ドラコイ式のメリットデメリット」をディスカッションして、魅力的な進化方法を採用すべきであろう。

まぁ、そんな感じで各社の仕様には様々な意図が込められており、様々な感じ方がある。しっかりとしたインプットを増やして、素敵なアウトプットができた会社が勝ち残ると思います。

何が言いたいのかと言うと、ソシャゲは本当に奥が深いということです。ユーザーからは一見、単純だったり、不便に見える仕様ですら、運営者側には何か意図があったりするのです。

ソシャゲって本当におもしろいよ。これからも凄いスピードで改善が進んで、どんどん進化するでしょう。

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