2012
11/16

サイバーエージェントが1ヶ月で30億もの広告費を投入する大博打

サイバーエージェントがスマホでのシェア獲得のため、1ヶ月で30億円もの広告費を投入するとのこと。GREEやmobageが直近四半期(3か月間)で広告費45億程度なことを考えると、かなり密度の濃い大規模プロモーションであることが分かる。先に言っておくと、僕はWEBサービスのWEB広告については詳しいが、テレビCMに関しては詳しくはない。

さて、話を戻して、30億円の広告出稿に関して考察してみる。30億の広告費を投入するということは、普通に考えると最低でも30億の売上上昇が見込めないと割に合わない。

仮に2年間で回収する(ユーザーが2年間ちびちび課金して利用)と考えてみよう。

全部仮(てきとー)だが、
CPA:1,000円
LTV(2年):1,000円
とすると、300万人獲得して、2年間での売上が30億円ということになる。

ぶっちゃけ、この数字はかなり厳しい。mobageが現在会員数4,500万人だから、1ヶ月で10分の1程度の300万人獲得できる可能性はかなり低い。現実はCPAが3,000円以上になる可能性が高く、LTVも、もっと低いんじゃないかと思う。そうなってくると、獲得できる数は100万人程度かな。LTVは頑張って1,500円。それでも充分なボリュームなんだけど、広告の費用対効果で考えるときっと見合わない。採算度外視でとりあえず、ユーザーを囲い込む作戦かなぁ。

CMでは12個もの複数サービスを訴求するらしいけど、コミュニティ系のサービス(課金型ではなく、広告収益モデル)もかなり入っているので、マネタイズにはかなり苦戦すると思われる。

発表会終了後、藤田氏はAmebaスマホについて「コミュニティをまず強化しようという戦略。集客していけば何らかのマネタイズができるという考え方。その1つがゲーム」と説明したが、実際のところゲームの優先度が高まっていると語る。

ソーシャルゲームでは、今はカードをガチャで購入する、いわゆる「カードバトル」ものが中心。Amebaスマホで展開するゲームに関しては新しい試みに取り組んでいるとするものの、ガチャによる収益モデルから現時点で脱却できていないとした。
(引用:CNET JAPAN)

といった、戦略らしいが、ゲームで課金するのであれば、初めからゲームでCMを打つべき(注:数個ゲームのサービスも入ってます)。LINEのゲーム課金がうまくいっていない現状を見ると、コミュニティで集めて、そこからゲームに流し込みマネタイズというのは、遠回りすぎてかなり厳しい(mixiゲーム程度の規模が限界)。ゲームで集めて、ゲームに流した方が、回遊といった意味でも効果は高い。

特にCA(サイバーエージェント)規模になってくると、人月工数もかなり高いと思われるため、メディア系はアメブロ規模に成長しない限り、収益的に苦しいだろう。

仮に「コミュニティ → ゲーム課金」戦略がうまくいったとして、ゲームは基本無料で+α課金なので、売上のピークが最初の3ヶ月以内にくる可能性が高く、次の決算発表で、Ameba事業の売上が15億程度上がっているかに注目です。(後にAmebaプラットフォームにどんどんゲームを追加して、招待による拡散を呼び、売上上昇気流に乗せるのがCAの描いている最高なパターンだとは思う

ちなみに僕なら、全サービス(CAは100個くらいある)のWEB広告を300万円ずつトライアル出稿し、その中から効果の高いサービス10本程度を毎月1億ずつ半年間強力出稿。更に、効果が良い2~3つのサービスのみ、残りの17億使ってテレビCMを打つ(当然WEB広告と同時期)気がします。テレビCMも価格の安い地方局で効果トライアルを行ってから、キー局に移すでしょう。

慎重すぎるし、スピードが遅いと思われるかもしれませんが、角度を上げるためには適した方法ではないかと思います。そもそも30億の広告費を一気に投入して、効果を合わせるのは現実的に厳しいです。サービスの効果が悪かったら改修が間に合わないですし、流入効果が薄かったとしても途中で辞められない。

まぁCAは売上1,400億で、経常170億(連結)出てるから、全然コケても耐えられる数字だと思うけどね。それにしても、大胆(ある意味、雑)なプロモーションだなと・・・。

App Store上位のギャングロードとかでテレビCM打ってもおもしろいと思いますけどね。ギャングロードの広告出してる人はしっかりとエロ広告(風)も出していて、結構分かってる人だと思います。

「1ヶ月に30億出稿とか博打だ」と、色々言いましたが、サイバーエージェントはなんだかんだで成長し続けている素晴らしい企業。

(上記、何故かセグメント別売上推移のグラフがなく、利益推移のグラフです)

中の人からは僕の視点とは違う、大きな勝算が見えているのかもしれません。というか、もしかしたら、Ameba内で自社広告を回していて、トライアル出稿は完了しており、イケると思ったサービスがこの12個なのかもしれない。メディアから課金サービス(ゲーム)への流入率や課金率も分析済みで、高いCVRやARPUが確保できているのかもしれないですしね。

ってかやってるか・・・あれだけの企業なら。

コミュニティ系の方が継続率が長く、直接ゲーム出稿より、長い目(5年、10年)で見るとプラスと踏んでるとか・・・。Ameba内のトライアル出稿完了したら、30億規模のプロモーションにも疲弊せず耐えられる数字が出てるとか・・・・。個人的にはそんなハズないと思ってるけど。。。ま、いっか。

このへんって正直博打をしかけるしかないんですよね。LINEの成功も、戦略を練っていたにせよ、博打であったと思っているので。僕だったらやらなかったけど、NHNはやって、当てた。実際、結果が全てです。この博打の決断ができる勇気ある経営判断は称賛します。必ず、勝算は持っているハズです。確率が低いのも把握しているでしょう。ただ、そこを攻めるという決断

おまけですが、類似サービスを運営している人は、サイバーエージェントのサービスのキーワードでリスティング広告を大至急打つべきですね。きっとおこぼれが貰えます(笑)

PS:CA女子との呑み会を誰かセッティングしてください。

人気記事

    None Found

経済ログ最新記事


Warning: array_slice() expects parameter 1 to be array, null given in /home/users/2/lolipop.jp-964f40ad7b48918/web/wp-content/themes/twentyeleven/content-single.php on line 175
  • No items

コメント

comments