2012
10/27

ソーシャルゲーム市場が下降している理由と上向きにする方法

先日、「ソーシャルゲームだって簡単じゃねーんだよ 減収減益や下方修正企業まとめ」の記事がバズってリツイートにあった下記のご意見。

 

そっか。と思ったので、僕なりの考察を書いてみます。

ソーシャルゲーム市場が下降している理由

■開発コスト(コンテンツ)の増加による利益率悪化

ソーシャルゲームはもはや「クソゲー」ではありません。もの凄いスピードで進化を遂げており、クオリティが1年前とは格段に違います。

分かり易いのがイラストで古いタイプから順に載せると
■ドラゴンコレクション
■ドラゴン騎士団
■神撃のバハムート
■神魔×継承!ラグナブレイク
って感じ。
最初と最後では値段が5倍くらい違うと思います。

システムも同様で、クエスト機能の演出(RPGの進んでいく画面)、ユーザー同士の対戦形式などかなりバージョンアップされており、開発費が高騰しつづけています。システムのクオリティ的に是非、体感して頂きたいゲームは拡散性ミリオンアーサーです。

■急激な人件費増加による固定コスト増加

成長市場なので、全力疾走でいかないと他社に押しつぶされてしまいます。ここが正直、僕の想定よりスピードが速いです。

成長するために各社人材を積極採用。そのため奪い合いになり人材価格の高騰。採用したからには売上が急激に伸びないといけません。でも、人を抱えた分の売上増が、各社現状は足りてないと思います。

市場的にはまだ数年。正直、そんなに優秀な人材はいないでしょう。本当に稼げる人が採用できているのか疑問です。採用での大成功例がcygamesでしょう。エースが1人いるかいないかで運命は変わります。

※積極採用の方針自体は間違えではないです。ただ、勝つのは予想以上に難しかったということだと思います。

■新ジャンルが出てこないことによる既存ユーザーの「飽き」と新規ユーザー獲得不可

現状、売上を押しあげているのはカードバトルです。もうだいぶ前からそうです。ランキングを見れば一目瞭然で、TOP20のうち、9割はカードバトルです。

育成(サンシャイン牧場、クリノッペ)→シミュレーション(ハコニワ、まちつく)→カードバトル(ドラコレ、ドリランド)

の次が出ないのです。ちょっと+αをしたパズドラや、頑張っている「恋愛ゲーム」もあるのですが、市場をけん引する(再度天井を突き破る)ようなものは出ていません。

出ていないので、当然ユーザーの飽きもきていますし、新しいお客さんがとれていない(新しい訴求ができない)ので、市場が停滞している一要素です。

■プラットフォームのパワーが大きすぎる

通常のパッケージゲームが、ハード制作会社とソフト制作会社の力関係や、お金の流れがどうなっているかは知らないですが(誰か教えてくれ)、ソーシャルゲームに関してはGREEやmobageのパワーが絶大です。売上利益を見ればわかります

何故SAPが儲からず、プラットフォームが儲かるのか。かなりSAPの条件が悪いのでしょう。集客導線、仕組み、料率・・・あらゆる面でです。(ちなみにAppleも手数料高いし、融通聞かないからGREEとmobageだけ極悪ってわけでもない)

—————

 

上記の理由から停滞が始まったと思われます。

ちなみに開発費の高騰に関しては僕が想像していたより、はるかに早いスピードでリッチ化が起こっています。完全に消耗戦ですね。ただ、以前「生き残るSAPは10社のみ」で書いたように、これは起こるべくして起こったことです。

ファイナルファンタジー(すごいクオリティの高いソフト)を作れる会社は、資金力や開発力含めてそう何社もありません。あなたはショボいゲームよりファイナルファンタジーを買いますよね?(もちろん例外は多々ある)

急成長のソーシャルゲーム市場では、一刻も早くファイナルファンタジーを作れる会社にならないと、蹴落とされてしまうのです。だから人材を採用し、資金調達を行い、一生懸命プロモーションを行い、ものすごい数のゲームを出す。みんな生き残るために必死です。

僕自身、ビジネスの厳しさを非常に実感しています。

今後ソーシャルゲームが成長するにはどうすれば良いのか

■プラットフォームが手数料を下げる、もしくはプラットフォームがゲームを作って新ジャンルに挑戦

市場下降の原因として、強すぎるプラットフォームの力を上げました。利益率が高くないSAPはどうしても、ビジネス的に「当たる確率が高い」カードバトルに走ります。潤沢な資金がないため、ビジネス的にギャンブル性の高い「新ジャンル」に思い切って投資することはできないと思います。

ここを、プラットフォーム側が手数料を下げて、利益率の幅が広がれば、SAPが新ジャンルに挑戦しやすく、いくつかヒットが出てくるかと思います。そうすれば既存ユーザーのARPU(課金額)も上がりますし、新しいユーザーも獲得できるでしょう。

また、手数料を下げる以外にもプラットフォーム自身が潤沢な資金を使ってゲームを開発するという作戦もあります。既にGREEの探検ドリランド、聖戦ケルベロスケルベロス、mobageの怪盗ロワイアル、農園ホッコリーナのようにそれぞれ制作をし、ヒットもしておりますが、クオリティ的にはイマイチだな・・・と思う面も多いです。(GREEの方が制作力があるように思えます)

グリーのポケラボ買収のように、プラットフォームがSAPを買収し、開発力を強化し、内製ゲームのクオリティを上げる・・・のような動きも見えているので、今後こちらの動きが加速する可能性もあります。そうなってくると生き残るのはGREEとmobageのみなんですけどね。

あと1個。GREE、mobageに追随する手数料の低い新たなプラットフォームができることですね。候補はこのへん

■価格を変える

お金があれば新しいゲームを開発できるのは間違いないので、プラットフォーム側で調整できないのであれば、お客様に負担して頂くしかありません。今、ガチャ300円なのを400円にするだけでもかなり違います。

「ただでさえボッタくりなのに・・・・」と思う人がいるかと思いますが、無料で遊んでいるお客様も多いため、10人に1人しかガチャを回さないとしたら、300円のガチャの場合、1人30円です。

批判もあるでしょうし、課金率が下がるため、簡単ではないですが、製作費が高騰しているのに価格添え置きは正直厳しいため、これはありかと思います。

■人件費を適正価格に

そのうちリストラとかも出てくるかと思います。ジンガジャパンが閉鎖されましたが・・・・。ソーシャルゲームバブルで人件費高騰してましたからね。売上上がらないならコストを下げる。当然のことです。

■海外市場を狙う

よくニュースで「海外1位」なんてのを目にしますが、実際、売上はたいしたことないように思えます。英語が喋れない僕が言うのもなんですが、海外は文化や思考が違い簡単ではないでしょう。ただ、ここを開拓できるか開拓できないかでソーシャルゲームの明暗は分かれます。

ネクソンの売上がほとんど海外なように、各社がネクソンと同じ比率にできれば(ってことはまだ5~10倍くらいは可能性ある)まだまだ伸びます。

(ネクソン平成24年12月期 第2四半期会社説明資料より)

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上記に載っていないようなウルトラアイデアで誰かが天井を突き破ってくれることを期待しています。ドラコレでカードバトル(クエスト、ガチャ、合成、バトル)を生み出した時のように、すごいの無いかな。。。突き破るのが僕だったら最高ですけどね。ちなみに思いついたらブログには書かず、普通にこっそりと会社でサービスを開始します(笑)

でわ。

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